瀬戸内に浮かぶ神の島「大三島」で採れる柑橘類(みかん、レモン)の美味しさの秘密とこだわり
広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ、しまなみ海道。
その中央に位置する「大三島」。
大三島には、歴代の朝廷や多くの武将が崇拝していた「大山祇(おおやまづみ)神社」があることから、古くは「御島(みしま)」、現代では「神の島」と呼ばれています。
縁起のよさを感じられるこの島では、柑橘類の栽培が盛んに行われており、最盛期は島の耕作地の8割以上が、果樹園だったそうです。
今回は、大三島で柑橘類の無農薬栽培に取り組まれている農家さんにお話を聞きました。
気候の変化や動物による食害など、自然の影響を存分に受けてしまう農作物。
過酷な状況でも、安心・安全な果実を作るための、日々の取り組みについてご紹介します。
おいしいみかんの育つ条件がそろっている大三島
ーー大三島という土地がみかん栽培に適している理由はありますか?
柑橘類の栽培に適している土地は、日当たりと水はけがよく、潮風があたるところです。
大三島は条件が当てはまり、特にこの畑は比較的南向きの土地になっているため、太陽の光が当たりやすく、みかん栽培に適しています。
ーーおいしいみかんを栽培するためには、潮風はあった方がいいのですか?
潮風には、人間では感じられないミネラルなどが含まれているようです。
そのため、山間部で作られるものよりも沿岸部で栽培された果実の方がおいしくなると言われています。
ーー畑の肥料はどのようなものを使っているのですか?
うちは、無農薬栽培なので有機の肥料しか使えません。
主に、魚粉などを肥料として使っています。
ーーなるほど。だから、みかんの葉っぱがとてもきれいなんですね。
このあたりの地域は、いのししや獣などの被害はありますか?
あります。このあたりだと年間500~600頭のいのししが捕獲されます。
具体的な被害としては、実を食べられてしまったり、枝が折られてしまったりしますね。
いのししは、果実のできる10月くらいから畑に出始めます。
ネットを張ったり、電気柵を設置したり対策はしますが、それでも毎年畑にやってきますね。
いのししは、みかんは食べますが、レモンは食べません。
そのため、レモンの木を増やしたりなどの対策を行っています。
ーーいのしし対策のために、レモンも栽培されているとのことですが、大三島全体で一番多く栽培されている柑橘類は、何ですか?
レモンやブラッドオレンジなども栽培していますが、圧倒的に温州みかんが多いですね。
ーーこちらの農園でもブラッドオレンジは、栽培しているんですか。
出荷できるほどではありませんが、栽培しています。
ブラッドオレンジは、赤紫の果実で独特の色をしており、あまりなじみのない方もいらっしゃるかと思いますが、ジュースにして飲むとすごくおいしいです。
ただ、アントシアニンの関係で、酸化しやすく、色がすぐに変わります。
酸化しないように、冷蔵庫でうまく保存する必要がありますね。
手間をかけるからこそ実現するおいしさ
ーーみかんの苦みが少ないように感じたのですが、その秘訣は何ですか?
ありがとうございます。
おそらく、肥料が関係していると思います。
やはり、化成肥料を使うと、果実のうまみにも影響が出てきますからね。
ーー大三島で、柑橘類の無農薬栽培をしている農家さんは、どのくらいいらっしゃるのですか?
この地域で、有機栽培をしているのは、数件あります。
その中でもJAS認証をとっているのは、この地域では、うちともう1軒しかいません。
ーーそんなに少ないんですか?!このような有機栽培をしている畑を残したいですよね。
そうですね。
以前は、山頂の方にもみかん畑がたくさんあったのですが、年を追うごとに管理が難しくなってきたり、後継者がいなかったりなどの理由で、耕作地がだんだんと減っています。
ーー農業は、やはり毎日作業しないといけませんよね。
草刈りなどの作業は、どのくらいの頻度で行うのですか?
草刈りは、今の時期だと1か月に1回の頻度で行います。
そのほかにも、剪定や出荷作業などもあるので、正月の1日や予定がある日をのぞいて、ほぼ365日稼働しています。
気候変動による栽培の難しさ
ーーおいしいみかんの見分け方はありますか?
品種によって違うので、一概に言えませんが、温州みかんの場合、じょうのう(果肉が入っているふくろ)が11~12個だとおいしいと言われています。
また、果実がぶら下がる枝が太いと、水分が実にたくさん送られるため大きく育ち、逆に細い方は水分が少しで栄養分が多く送られるため、小さいですが味が濃いですね。
みなさんが、食べるときはヘタの中心の大きさを見ると、おいしいみかんかどうかが分かると思います。
ーーワインみたいに「何年に一度、いいのができた!」みたいなのはありますか?
雨の少ないときの方が柑橘はおいしいものができます。
ーー去年や一昨年と比べて、今年は柑橘類の栽培に何か影響はありましたか?
今年は寒波がひどく、1月~2月にかけて気温がマイナスになる日の方が多かったです。
特に、レモンなんかは傷んでしまいましたね。
マイナスになると、果実も影響を受けますが、木自体も影響を受けてしまいます。
いつもの年なら、この時期は木に葉っぱがだいぶ付いているのですが、今年は寒波の影響で落葉しているものが多いです。
ーー農家の方のお話をおうかがいしていると、温暖化の影響が話題によくあがるのですが、柑橘類は、その影響はありますか?
今は、特に影響はありません。
今後ますます温暖化が進むと、品種によっては収穫できないものも出て来るかもしれませんけどね。
瀬戸内の風土と生産者の想いで育まれたおいしさをお届け
柑橘類の実ができるのは、温室で栽培されるものをのぞき、秋から春先にかけての期間。
収穫時以外でも、畑の手入れや剪定のために毎日作業が行われることで、果物が実を結び、わたしたちはそのおいしさを味わうことができます。
野菜.comオンラインショップには、農家さんが丹精込めて作った果実を使用した商品がたくさんあります。
こちらのレモンジュースは、農薬を使わず育ったレモンをそのまま絞りました。
芳醇な香りとスッキリした酸味、ほのかに甘みも感じられるのは、無農薬栽培だからこそ。
砂糖やはちみつを入れてホットレモンにしたり、お酒やソーダと割ってもおいしくいただけます。
同じく有機栽培されたレモンを、丸ごと粉砕したレモンパウダー。
いつもの紅茶に入れてレモンティーにするのはもちろん、パンに塗るバターと混ぜていつもとは違った風味を楽しむことができます。
どちらの商品も農薬を使わないだけでなく、保存料・甘味料を一切使用していません。
小さなお子様も安心してお召し上がりいただけます。
レモンを使った商品以外にも、はっさくやいよかんを使った珍しい商品も取り揃えております。
どちらの商品も、農薬を使わず栽培された果実を使用しておりますので、果実本来の香りと色合いを、お楽しみいただけます。
ぜひ、一度ご賞味ください。